診療の中で気になった症例などを書き留めたり、診療していて思う所など診察室の内容を少しでもお伝えできたらと思っております(*^^*)
*過去のスタッフ日誌はコチラ
すごく更新がお久しぶりですいません!🙇♂️
2月や3月は学会があり、毎晩のようにオンライン😓
そして、4月からは狂犬病予防が始まってしまい、こんなに更新ができておりませんでした😵 本当にすいません。。。
さて、今回ご紹介したいのが猫ちゃんのかぜの症例😸
猫かぜの原因は、猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスによる
「ウイルス感染症」で、その両方による混合感染という状態も少なくありません。
covid-19(新型コロナ)のように猫同士による飛沫による空気感染ですけども、ワクチン接種率の低い日本では、親猫が既にウイルスを持っていて、子猫では栄養不足や寒暖差などの体の抵抗力低下や、大人の猫でも寒暖差やストレスによって免疫力が低下することも「猫かぜ」を引き起こす原因になります。
飛沫感染だけではなく、なぜ体を冷やしたりストレスでも発症するかというと、猫ヘルペスウイルスは、ヒトのヘルペスウイルス感染症と同じく体の中に長いことウイルスが残っているためです!! 子猫の時など一度感染し回復した後に、ウイルスが免疫という体の防御システムが入り込むことのできない、中枢神経系内に潜伏して持続感染することが知られており、完全に体から排除できにくいのです。それが大人猫でもウイルスを持ち続けたり、猫かぜを繰り返しやすい理由です。やっかいですね・・・(*_*)
さて、猫かぜにかかってしまった猫ちゃんはどのような症状を示すのでしょうか?😷
まず飼い主さんが気がつける症状は、「結膜炎(目やに)や鼻水、くしゃみ」です。このときはまだ元気で食欲も変わりません!! 人間のお子さんが鼻水垂らして咳をしていても元気なのと同じです!!
ここで治療をすぐできれば比較的速やかによくなるのですが、さらにひどくなると食欲無くなり子猫では一気に体力が低下します。
さらには結膜炎がひどくなり眼の表面にキズや穴が開いてしまったり、最悪は肺炎まで起こしてしまい死んでしまったり😵 することもあります。ヒトの新型コロナウイルス感染症と同じように猫かぜも呼吸器感染症なので、急に呼吸が悪くなると怖いですね・・・(>_<)
ただの「目やに、鼻水、くしゃみ🐱」と病院へ来るのを先延ばししないで、ぜひ軽症のうちにご来院ください!
ウイルスに効くお薬はあるものの効果がてきめんではないので、主な治療は対症療法になります。具体的には、二次感染を防止するための抗生物質やウイルスの増殖を抑えるためのサプリメントです。病院によっては抗ウイルス効果を狙ってインターフェロンの投与を積極的に行っている病院もあると思います。また「目」に症状がある子には目をこすらないようにエリザベスカラー装着や目薬も使ってもらいます。
家庭でもできる治療としては自分から排出したウイルスを取り込んで再び感染を起こすことを防ぐために、猫のお部屋の温度変化に気をつけてもらったり、空気清浄機や加湿器を使ってもらったりすることも大切です!😸
このような状態になりにくくするためにも、covid-19のように 猫の混合ワクチンをおすすめしているのです!😹
ワクチンによって体の中にウイルスへの抗体を持っている猫ちゃんは猫かぜが重症化しないことが知られており、毎年しっかりとワクチン接種をしていただくことをすすめています(^O^)/
ヒトのコロナウイルス対策と同じく猫ちゃんもワクチン接種をしていきましょう!!
猫かぜの子猫さんです。目やにで片眼があかなくなってしまっています。
この子は角膜に穴が開いてしまっています。痛々しいですね・・・(*_*)
肺炎を起こしてしまった猫ちゃんのレントゲンです。
赤矢印でさしたところが肺ですが、全体的に白くなっています。これが肺炎のサインです。
こちらは肺炎を起こしていない猫ちゃんのレントゲンです。
左のレントゲンと比べてみると肺の部分の色の違いがよく分かります。
今日のご紹介する症例は、ワンちゃんの腹水+心嚢液貯留症例。
遠い所からの眼科診療のご紹介で来院してくれたのですが、
お話を聞いてみると、眼科以外にも問題がありそうなお話が・・・。『一週間ほど前から急にお腹が膨れてきて元気もないんですよね』と・・・(+_+)
これは、眼科だけの問題ではないぞ!!
飼い主さんへの説明もそこそこに、急いでレントゲンと超音波検査を実施したところ、腹水が溜まっていました。そしてさらに心臓の周りにも液体が溜まっていました!
心臓の周りには薄い膜で覆われていて、これを心膜と言います。その膜と心臓の間に溜まる液体が「心膜液」です。
心膜液が溜まると心臓が溜まった液体に圧迫されることでうまく動けなくなって、腹水が溜まったり元気がなくなったりしてしまうことがあります・・・。
ちなみに心膜液が溜まる原因ですが、ワンちゃんでは腫瘍性と特発性(原因が分からないもの)が多くを占めると言われています。原因追及のためには溜まってる液体の精密検査はもちろん、全身の血液検査など色々と行う必要がありました。
飼い主様に状況を説明して、何とか協力的なワンちゃんでしたので、その日のうちに検査はもちろん、局所麻酔のみでお腹と心臓にそれぞれ針を刺して腹水と心膜液を抜く事が出来ました!!
ただ、再診の際にまた水が溜まってきてしまったため、その後1ヶ月ごとに2回同じ処置を行う必要がありました。
現在は、最後の水を抜く処置から4ヶ月以上経ちますが、今はステロイドや利尿薬などのお薬のみですごく元気に過ごしてくれています! まだまだお若いので元気に長生きして欲しいものです(∩´∀`)∩
お腹も胸の中もほぼ白いですね。
お水を抜いた後です。
心臓の周りもお腹の方もだいぶ他の臓器の陰影が見えるようになりました(*^_^*)
心臓の周りの黄色い斜線部分が心膜液です。だいぶ溜まっているのがわかると思います(:_;)。
抜いた後です。
心臓が元気に動いてくれるようになりました!(^^)!
今日のご紹介する症例は、ワンちゃんのまぶたの腫瘍パート2!!
実は以前当院で「まぶたの腫瘍が消える事もあるんですよね~」とお話した飼い主様から、「この日誌を見たんだけどもその事書いてなかったので不安で。。。」と言われて慌てて追加決定~!(苦笑)
犬では良性なパターンが多い上に、稀に消える腫瘍があるんです!
「消える魔球」を知っている昭和世代には突っ込まれそうなネーミングですが本当に消える腫瘍もあります。
その名は・・・『組織球種』です!
この腫瘍は、頭部、四肢に好発する良性の皮膚の腫瘍で、多くは若い年齢の犬で認められます。まぶたも皮膚の1部ですから厳密に言いますと皮膚腫瘍となりますね。その『消え方』にはドラマがあります
やはり良性と言っても基本的には腫瘍ですから大きく育ちます!
数週間で直径2cm程度まで膨らんでそこから血が出ちゃうこともあります。ここでしっかりとした検査が必要になります!
安全のために全身麻酔下で「細胞学的検査」。特徴的な細胞があるので比較的診断は容易なことが多いです(^o^)丿
とはいっても、その急な経過や大きさから皆さん心配になってしまいますが、外科的な手術をガマンガマン・・・。
だって、手術しなくても治るんですから!! しかし、飼い主さまからの「本当に大丈夫なの???」的な視線に追いつめられる日々を過ごし(苦笑)、数週間~数か月後に急激にしぼみだして、最後には何事もなかったかのように消えてなくなります!
そこでようやく、飼い主さまの目線が柔らかくなり、ホッと一息な僕であります(∩´∀`)∩
前回の記載に追加させていただきます!!「手術の前には細胞の検査をして、手術が必要ない事もある!」
ハイすいません! 今回の事で言葉足らずだったことを反省している近藤でした~(^O^)/
*写真機の違いがありまして写真の品質が途中から違います。予めご了承下さい<(_ _)>。
最初は擦り傷かな?くらい。
1か月後くらい。ここで細胞検査のお話しました(^o^)丿
細胞検査から1か月後くらいでようやく小さくなって来ました!(^^♪
前の写真からさらに1か月後
完全に消えました!!
だいぶ擦れてい痛そうです(;゚Д゚)!
2か月後。ピンボケすいません(;^ω^)
ほとんど目立たないほどになりました~♪(^o^)丿
今日のご紹介する症例は、なんと14歳のワンちゃんのまぶたの腫瘍!
犬では7歳くらいから12歳くらいでよく見かける腫瘍で、その多くは(75%)
犬では良性なパターンが多いですし、悪性でも転移は少ないのです。猫ではかなり稀です。(コチラ参考に)
「いつも見てもらっている先生に 大丈夫ですよ。と言われたのですが、年々大きくなってちょっと血も出るようになったので心配で・・・。」と来院されるわんちゃんが多いので、その『大丈夫』に要注意して欲しい!
実は良性と言っても基本的には腫瘍ですから大きく育ちます!
カリフラワーのようにムクムクと育ち、数か月~数年後には大きくなり、涙が増えたり、角膜が傷ついたりします!
そこで、年齢に注目。。10歳で小さな瞼のしこり見つかりました! → 獣医さんへ → 大丈夫。
で様子見てしまって12歳で血が出るほど大きくなった時に、心臓や腎臓などが高齢で弱ってきている時に
『全身麻酔で手術』・・・。心配ですよね!!
なので、出来れば見つけた段階で、しかも小さいうちなら切り取るまぶたも少なくて済むんです!(コチラ参考に)
このお写真の子は新宮から以前当院で眼科診療させていただいた飼い主様を介してご来院でした。
14歳とご高齢ですが手術前の検査で問題ない事を確認できましたので、無事に全身麻酔も手術もできました(*^-^*)
「こんなにきれいになるなら、もっと早くに先生のところへ来れば良かったなぁ。」とおっしゃっていただきましたが、
距離が遠いのでね・・・(^▽^;) これからは目ヤニなどに悩まされずに老犬生活をエンジョイしてくださいね~(^O^)/
目の腫瘍のせいで目ヤニで汚れちゃう日々。。。
手術1か月後くらい。目の周りも汚れてないよ♪(^o^)丿
久しぶりの更新でスイマセン・・・(^▽^;)
今日のご紹介する症例は、なんと20歳の猫ちゃんの皮膚のデキモノ!
細胞診の結果は・・・、肥満細胞腫! 皮膚の独立円形腫瘍では良く見る物で、
猫では臨床経過は比較的良好なパターンが多いけど、犬ではかなり悪性度が高い
ので要注意です。(パグ・ボストンテリアでは良性挙動が多い)
実はこの子は腎臓の数値も少し悪かったので、大きくならないように祈りながら
診察を繰り返してきたのですが、2か月後にこんなに大きくなってきてしまい
痛そうな様子もあるので、飼い主様と話しあいの結果、清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟を持って
全身麻酔下で摘出手術を行いました!(-ω-)/
『エエ! Σ(;゚Д゚)!! 20歳で腎不全あるのに!』
はい。。。このまま放っておくわけにはいきません!!本当に万全な手術の用意とスタッフの配置を行いました!!
だって、さらに数か月後にはもっともっと大きくなって、血も毎日出ちゃって痛いのがかわいそうじゃないですか。。。
飼い主様とは先代猫からのお付き合いもありまして、信頼もしてもらえておりましたしこの子に頑張ってもらいました!
抜糸の前の写真です。痛々しいですね。。。
手術2か月後くらい。腎不全の治療も続けて元気(^o^)丿
やって良かった!(*´▽`*)!
手術中の麻酔も安定していてくれて、スタッフ一丸の取り組みで手術時間も30分ほどで終わらせることが出来て
なによりもこの子が頑張ってくれたおかげで、手術は無事に乗り越えてくれました!!(`・ω・´)シャキーン
そして抜糸の日を迎えて、その後の腎不全の治療も順調に落ち込まないで経過してくれてましたが、、、
なんと同じく腎臓病であった同じ年の兄弟猫ちゃんが他界されて落ち込んでしまいました。。。
仲良かったのでショックだったのでしょうね。。。
それでも、今は取り戻しつつ毎日のんびりと日向ぼっこなどしながら過ごしてくれているそうです。
その子の分もまだまだ長生きしてね!毎週の点滴も頑張ろうね~(=^・^=)
犬の肝臓の数値の異常は近年とっても良く見られる事は獣医会ではよく耳にするところです。
しかし、ホントの原因に合う治療をしていないと・・・(*_*;
みなさん、最初のみどり色の枠の結果どこが悪いと思いますか??
実はこれ他院での結果を記入した部分なんですが、
当院初診日に半年くらい肝臓の病気が良くならずに悩んでいた
10歳(当時)ワンちゃんの結果なんです!!
GPT=2089 ALP=8365 ビリルビン=0.7
『エエ! Σ(;゚Д゚)!!』 診察台の上で元気なこの子が。。。
そう、元気なんですが、病理組織学的検査もされて結果は「肝硬変」
で、「もう良くなる事は無いでしょう」と言われたそうです。。。
そこから右の数値の変化が当院での治療経過の結果になります。
数値がどんどん良くなってる!!
そうなんです!! この子はすっかりと良くなっていったんです!
どんな治療をしたの?? 手術をしたの?? なんで良くなったの――――(;゚Д゚)!!
まずは、食事の改善。
この子は、肝臓病用のゴハンを食べていたので、僕は『低脂肪食』への変更をしたのです。
さらに、おやつとしてもらっていた「おイモ」「クッキー」「パン類」をすべて止めてもらいました!
肝臓病の時には栄養源としてタンパク質を減らすのですが、その分炭水化物を増やして補っているんです。
だ・か・ら、この子はどんどん悪くなったのです!! では、なぜ??
答えは、ヒトで言われている「非アルコール性脂肪肝」だと考えたからです!(当院で改めて精密検査した結果です)
そこで、①脂質代謝改善薬 ②食事内容の変更(低糖質・高タンパク質・低脂質)③運動の充実 を行いました。
その治療は奏功し、上の写真のようにグングンと良くなっていきました(*^-^*)
当院の患者様(人)も「あ、実は僕もそれお医者さんに言われたんで、よくわかります・・・(^▽^;)」
なんて人もいるくらいヒトの医療でもあるようですね。
以上、ヒトと同じものを食べるようになった弊害がチラホラ出ている動物医療の現場からでした―(^O^)/
※このように仁先生は、実は、こっそりと肝臓内科・膵臓内科も得意な分野だそうです!(`・ω・´)シャキーン
12歳には見えないこの躍動感!! 元気になれて良かった!
横顔も凛々しい~~(#^^#)
犬の外耳道炎は動物保険会社のanicomによるデータでもかなり多い病気で、夏場にはよく見られる病気になります。
しかし、原因に合う治療をしていないと・・・(*_*;
みなさん、これは何だと思いますか??
実はこれ長年外耳炎で悩んでいたワンちゃんの耳を塞いでいた「腫瘍」なんです!!
『エエ! Σ(;゚Д゚)!!』
そう思った方が多い事と思いますが、本当の事なんです。。。
これが、最初の診察時の写真です。
全体的に汚れていて、耳の穴が良くわからないですね・・・。
そこで、まずは洗浄してみました!
それでもやっぱり、耳の穴は見えません・・・。
写真ではわかりにくいので、右は腫瘍をなぞった写真です。
そう、コレが耳の穴を塞いでいたんです!!
そこで、外科的に塞いでいるデキモノをとりました!それが最初の写真の物になります。
そして、この写真は取った後の写真です。ね!ようやく穴が見えるようになりましたね(*^^*)
まだまだ、全体的に炎症があり腫れておりますので局所的なお薬が必要ですが、この後ドンドンと腫れが引いていきました(^O^)/
病理組織学的検査の結果は「耳垢腺腫瘍」でしたので、幸いにも良性腫瘍でしたから再発もないでしょう。
このように、外耳炎の治療でしっかりと洗浄や炎症のコントロールが出来ていないとこうして分泌腺として耳垢腺が腫瘍化してしまう事もあるんですよ!!この子は2年以上治らない外耳炎だったそうです。。。
遠くからお越しいただいていたので、何とか結果が出せて良かったなぁと思いつつ、