10歳以上の猫に多い疾患です。
飼い主さんが直接目を見てわかることは少なく、
腎不全の既往があり、夜泣きがヒドイ場合は要注意。
あまり動かない、暗くても瞳孔が開いている。など。
診断には眼底検査・血圧測定が必要です。
多くは2次性高血圧症で認められる、網膜疾患です。治療が遅れると失明に至ります。
一般的には、猫の慢性腎不全に伴う2次性高血圧症が多く、次いで猫の甲状腺機能亢進症でも認めることがあります。
血圧の測定にて、最高血圧(収縮期血圧)が160mmHg以上で起こる可能性があり、180mmHg以上では、高率に引き起こします。
このため、慢性腎不全の高齢猫ちゃんでは、血液検査だけではなく、定期的な血圧測定をお勧めしております。
網膜剥離を起こした13歳の腎不全の猫ちゃん。風船のように腫れているのが剥離した網膜です。
一般的には、
血圧の測定にて、最高血圧(収縮期血圧)が150mmHg以上で怒る可能性があり、180mmHg以上では、高率に引き起こします。
このため、慢性腎不全の高齢猫ちゃんでは、血液検査だけではなく、定期的な血圧測定をお勧めしております。
網膜って?
突然ですが、目をカメラと思ってください。
カメラにはレンズがあって、その先にシャッターがあり、最後フィルムがありますね。
え?最近はフィルムなんてないけど?。。。えーと、スイマセン、昔のカメラと思ってください。
目に置き換えてみると、
となります。つまり、網膜は画像を取り込む部分なので、ココが無くなると画像を脳に送ることが出来ません。
つまりは、『見えない』という事になります。
そして、網膜剥離という状態は、フィルムが剥がれて機能しない状態となり、結果として、「見えない」状態となります。
模型での網膜剥離の説明。
ピンセットで持ち上げて前方にずらしている半透明の膜が網膜です。
この様にはがれている状態が網膜剥離といいます。
眼底検査です。
ヒドイ状態だと、眼底の血管に沿って出血が伴っている時もあります。
そして、2次性が多いので、根本的な原因である腎不全や甲状腺機能亢進症の存在を確認するために血液検査も必要になります。
具体的には
です。
原因疾患の治療を行うとともに、
・降圧剤を用いた治療が必要になります。
具体的には
腎不全であれば、腎不全の治療と並行した降圧剤を投与する治療となります。
この病気の多くは、高齢な猫ちゃんに多いです。
そして、慢性腎不全で見られることが多く、そのほとんどは腎不全と診断した時にかなり進行した状態の猫ちゃんであることが多いです。
私が、東京での勤務医時代にゴンちゃんという、真っ白な猫ちゃんで経験した時にはまだ血圧を計測するというのが一般出来ではなく、採血時に返り血があまりにも早く帰ってきたことで、『この子、血圧が高いのかな?』と思い、気が付いたことを毎回思い出します。
あれから、獣医療の発展にともない、今ではルーチン検査で早期に見つけてあげることが出来る病気です! 10歳越えたら、血液検査と血圧検査。 猫ちゃんではご検討してください。